こんにちは、あゆりんです。
ある日タイムラインに流れてきた、とある漫画家の長文ポスト。
そこには、
…という、なかなかヘビーな告白が書かれていました。
ポスト主は、週刊少年サンデーで『シテの花 ―能楽師・葉賀琥太朗の咲き方―』を連載中の漫画家・壱原ちぐささん。
この記事では、このXポストの内容とあわせて、
- X(旧Twitter)で話題になった“掲載順”ポストの事実関係
- 壱原ちぐささんの wiki風プロフィール・学歴
- デビューから現在までの経歴
- 代表作『朱月事変』『シテの花』の内容と魅力
- 今回の件から見える作家としての姿勢(※ここは私の考察)
を、感情ちょっと多め・でも事実はちゃんと押さえながら、まとめていきます。
少しでも興味がある方は、ぜひ、最後までお付き合いください。
X(旧Twitter)の告白ポストで何が起きたのか
ポストの主な内容(事実ベース)
2025年11月中旬、壱原さんはXの自アカウントで、『シテの花』の掲載順と入稿トラブルについて、複数のポストで経緯を説明しました。
ポスト内容を整理すると、だいたい以下のようなポイントになります。
- 『シテの花』は、少年サンデーの読者アンケートで平均7位前後と、決して悪くない順位だった
- にもかかわらず、誌面上では後半の掲載が続いていた
- 自分は締切の3日ほど前に原稿を出していたにもかかわらず、
前担当編集の入稿が締切翌日などにずれ込むことが度々あった - その結果として、編集部から
「締切を守れない作品・作家」だと見なされていた可能性がある
と壱原さんは推測している - 入稿の遅れに関連して、
- 写植(セリフ確認)が校了ギリギリになることが何度もあった
- セリフが無断で変更されていたこともあった
…といった点も、補足ポストで明かされている
さらにポストの中で、壱原さんは、
- 連載1周年のカラー掲載も、巻頭ではなくセンターカラーとして掲載される形になったことへの悔しさ
- 前担当はすでに別部署に異動しており、個人への過度な誹謗中傷はやめてほしいという呼びかけ
なども添えています。
公式コメントは出ている?
この記事を書いている時点で、小学館や少年サンデー編集部から、この件についての公式な声明・謝罪文などは確認できません。
ネットニュースやまとめサイトでは大きく取り上げられていますが、いずれも「壱原さんのポスト内容を引用して紹介している」段階で、編集部側の事情や見解は、まだ外からは見えない状態です。
私なりの受け止め方
ここからは私の感想ですが――
- アンケ順位が良いのに掲載順は後ろ
- 原稿は締切前に出していたのに、「締切を守れない作家」と誤解されていた“かもしれない”
という状況は、想像しただけでもかなりキツいです。
しかも『シテの花』は、後で触れるように、能楽界の宗家が監修に入る本格的な「能」漫画。
能楽ファンや関係者に対しても、「人気がないのに載せてもらっている作品」みたいに誤解されるのは本意じゃないはずで、壱原さんが作品と関係者の名誉のためにポストした、という側面も強いのかなと感じました。
もちろん、編集部側の事情・主張もあるでしょうし、ここで一方的に誰かを断罪することはできません。
ただ、「締切前に原稿を出していた」という本人の主張と、「締切後に入稿されていた」という結果の間に、何かシステム上・運用上の大きな問題があったことだけは確かだと思います。
壱原ちぐさの wiki風プロフィール
基本プロフィール
現時点で、壱原ちぐささん個人のWikipediaページはありません。
代わりに『シテの花』の項目内や、インタビュー記事などをもとに、プロフィールを「wiki風」に整理すると、こんな感じです。
- 名前:壱原 ちぐさ(いちはら・ちぐさ)
- 職業:漫画家
- 出身:奈良県
- 生年:公表なし
- 第86回小学館新人コミック大賞受賞時(2020年6月)に22歳・京都府在住と記載されているので、
そこから逆算すると1997〜98年生まれと推測できますが、これはあくまで推定です。
- 第86回小学館新人コミック大賞受賞時(2020年6月)に22歳・京都府在住と記載されているので、
- 学歴:大学で日本画を専攻。
- 宝生能楽堂のインタビューで、奈良県出身であることとあわせて本人が語っています。
「奈良で育ち、日本画を学び、お寺や仏像が好き」という背景は、のちの作品世界――特に能面や舞台の描写にものすごく反映されているなと感じます。
日本文化×職人キャラが得意
同じインタビューの中で壱原さんは、
- 昔から日本文化全般に興味があり、
- 自分の作品では「一つのことに人生をかけて打ち込む職人気質な人物」を描くのが好きで、
- 実際そういう読み切りが特に読者から好評だった
と語っています。
『朱月事変』でも『シテの花』でも、“重たいシステム”の中で自分の生き方を貫こうとする主人公が描かれていて、そういう意味ではかなり一貫した作家性を持っている人だな、という印象です。
経歴をざっくり年表で追う
2018年〜:関西での創作活動スタート
壱原さんのpixivFANBOXによると、
とあります。
同年の関西コミティアにも参加しており、当初は同人・展示ベースで創作漫画やイラストを発表していたようです。
2020年:小学館新人コミック大賞・佳作受賞
- 2020年6月
第86回 小学館新人コミック大賞 少年部門 佳作『終雪に立つ』壱原ちぐさ(22歳・京都府)として受賞。
あだち充先生の講評がすごく印象的で、
- 絵にも話にも細部にこだわる職人臭がプンプンしていてよろしいかと。
- 絵の説得力で成立した作品。
と、まさに“職人気質”な作家性をズバッと指摘されています。
この受賞をきっかけに、少年サンデー編集部との付き合いが本格化していきます。
2022〜2023年:初連載『朱月事変』
- 2022年:週刊少年サンデー43号より『朱月事変』連載開始
- 2023年:全5巻で完結(サンデー公式および各書店サイトより)。
中華風ファンタジーの世界で、霊術師の一族に生まれた兄妹が「家」の理不尽と戦う物語。
サンデー公式の紹介や帯コピーでも、“御家革命ファンタジー”的なニュアンスで紹介されています。
2024年〜:第2作『シテの花 ―能楽師・葉賀琥太朗の咲き方―』
- 2024年:週刊少年サンデー47号から『シテの花』連載スタート
- 監修には、宝生流二十代宗家・宝生和英氏が参加。
- 「少年誌連載漫画としては初となる、能楽師たちの生き様を描く『能』漫画」として打ち出されています。
- コミックスは
- 1巻:2025年3月発売
- 2巻・3巻と順次刊行され、
- 4巻が2025年11月18日に発売(この記事執筆時点の最新刊)。
学歴・専門性から見る「絵の説得力」
奈良出身×日本画専攻がもたらすもの
宝生能楽堂のインタビューによれば、壱原さんは
- 奈良県出身
- 大学で日本画を専攻
- お寺や仏像を見るのが好き
- 飛鳥時代のような“古い日本”の文化に強く惹かれる
と話しています。
このバックグラウンドを聞いてから『シテの花』を読むと、
- 能面の質感
- 能舞台の奥行き
- 着物や装束の細部
が、ただ「上手い」だけじゃなくて、“静かな古さ”みたいなものまで含めて描き込まれているのが分かります。
私の考察:細部に宿る「職人気質」
新人コミック大賞の評価でも、
絵にも話にも細部にこだわる職人臭がプンプン
と書かれていましたが、
- 奈良で古い文化に囲まれて育つ
- 日本画で「線」や「余白」を徹底的に鍛える
- その視線を能面や舞台、伝統芸能の世界に向ける
というルートをたどってきた結果、いまの“異様に説得力のある絵”につながっているのかな、と感じます。
特に、能面を真正面からドアップで描いたコマは、そのまま画集に載せられるレベルで、「この面、紙から抜け出してきそうだな…」とちょっと怖くなるくらいです。
代表作①『朱月事変』:家と兄妹をめぐるバトルドラマ
どんな話?
- 掲載:週刊少年サンデー(2022〜2023年)
- コミックス:全5巻完結
あらすじをざっくり言うと、
神獣と戦う「霊術師」の名家・朱鶴家に生まれた兄・望月と妹・初月が、“家のしきたり”に抗いながら、自分たちの生き方を選び直していく物語。
- 才能ある次男・望月
- 才能がないとされ幽閉される妹・初月
- そこに絡む、親世代・一族・政争…
という、かなり重たいテーマを扱いながら、バトルあり、陰謀あり、兄妹の熱い感情あり、で最後まで読み切りやすい構成になっています。
読んでみた感想
個人的には、
- 「家の名誉」と「家族の幸せ」が真っ向からぶつかる
- それでも“家を全部ぶっ壊す”のではなく、ルールの方を変えようとする
というスタンスが、すごく壱原さんらしいなと思いました。
「システムそのものと戦う」というテーマは、後の『シテの花』にも通じていて、この時点ですでに作家としての軸がガッチリできていた印象です。
代表作②『シテの花 ―能楽師・葉賀琥太朗の咲き方―』
■ 作品データとあらすじ
- 掲載誌:週刊少年サンデー
- 連載開始:2024年47号〜連載中
- 監修:宝生流二十代宗家・宝生和英
- コミックス:既刊4巻(2025年11月時点)
ストーリーは、サンデー公式の紹介を借りるとこんな感じです。
- 主人公・葉賀琥太朗(こたろう)は、一流の実力を持つ若手ダンサー
- しかし、舞台事故で顔に傷を負い、芸能界から退くことに
- 一度すべてを失った彼が、亡き祖母の縁で出会ったのが「能」の世界
- 能楽師たちとの出会いを通して、能舞台で“もう一度自分の居場所をつかもうとする”再起の物語
サンデー公式いわく、「少年誌連載漫画としては初となる、能楽師たちの生き様を描く『能』漫画」。
他誌や同人誌まで含めて“史上初”かどうかはさすがに断言できませんが、少なくともメジャー少年誌ではかなり珍しい題材です。
能楽描写とコラボ企画
宝生会のnote記事・公式サイトなどを見ても、この作品が本気で能楽界と組んでいるのが伝わってきます。
- 宝生流二十代宗家・宝生和英さんが監修として参加
- 宝生能楽堂の公演「夜能」とのタイアップ企画
- 来場者に『シテの花』コラボ番組
- 特製鑑賞ガイド配布
- 『シテの花』第1話掲載号サンデーの販売 など
インタビューでは、壱原さん自身が
- 能面の“角度によって変わる表情”
- 光の当たり方
- 日本画の経験を踏まえた線の引き方
などを意識して描いていることも語っていて、読みながら「これ、完全にガチ取材だ…」と唸らされます。
読んでみた手触り
私の印象を一言でまとめると、
「伝統芸能×青春もの」だけど、スポ根というより“再生の物語”
です。
- 顔の傷を負ってしまったコンプレックス
- 能面で顔を隠して舞台に立つことの意味
- ダンサー時代の身体感覚と、能の動きの違い
といったテーマが、静かながらも熱いドラマとして積み上がっていて、「能は全然わからないけど、主人公を応援したくなる」作品だなと感じました。
Xポストから見える、壱原ちぐさという作家像
ここからは、今回のポストと作品内容を見比べて、私なりに感じた「作家像」の話です。
事実を淡々と積み上げるタイプ
ポストを読む限り、壱原さんは感情を爆発させるというより、
- 何日までに原稿を出していた
- 入稿がいつになっていた
- 掲載順がどうだった
- どんな影響が出た
といった具体的な事実を順番に並べて説明している印象でした。
「前担当を叩いてほしい」というより、
- 読者に正しい状況を知ってほしい
- 作品や能楽関係者のイメージを守りたい
という思いが強くにじんでいて、そこに“職人らしい真面目さ”を感じます。
システムと向き合う姿勢は作品にも共通?
『朱月事変』では「家制度」、『シテの花』では「伝統芸能」という、大きなシステムの中で生きる人間を描いてきた壱原さん。
今回のポストも、
- 雑誌連載というシステム
- 掲載順とアンケートという慣習
- 編集部と作家の関係
に対して「嫌だから全部ぶっ壊せ!」ではなく、
何が起きていたのかをきちんと明らかにして、誤解や不利益を減らしたい
という、中から変えようとする態度に見えました。
もちろん、外から見ている私たちには分からない事情もたくさんあるはずです。
それでも、「締切を守っていた側が不利益を被る構造」は、どう考えても健全ではありません。
システムの中で、それでも自分の信じる道を通そうとする―そういう葛藤を漫画で描き続けてきた人が、現実でも同じように声を上げざるを得なくなった、という流れは、少し皮肉だけれど、どこか作品と地続きに感じられました。
これから読む人へ:作品の入り口ガイド
最後に、「Xの件で初めて名前を知った」という人向けに、どこから読めばいいかをサクッと。
まずは『シテの花』1話+1巻
- 少年サンデー公式サイト「WEBサンデー」で第1話が無料公開されています。
- 1巻を読むと、
- ダンサー時代の琥太朗
- 事故と挫折
- 能との出会い
- 「ここで生きていこう」と決意するところ
までがきれいに描かれ、作品のトーンがよく分かります。
能に詳しくなくても、「一度挫折した少年が、別の舞台で再起する話」として読めるので、かなり入りやすいです。
ハマったら『朱月事変』全5巻を一気読み
- こちらはすでに全5巻で完結しているので、一気読み向き。
- 「家」「血筋」「家族」といった重めのテーマと、バトル・陰謀・兄妹の情がガッツリ詰まった作品です。
『シテの花』から入った人が読むと、「初連載からここまで描けてたのか…」と、いい意味でびっくりすると思います。
まとめ:炎上じゃなく“入口”になってほしい
今回のXポストは、どう見ても穏やかな話ではありません。
- 作家は締切を守って原稿を出していた
- でも、入稿の段階でズレが生じていた
- その結果として、作品や作家に不利益が出ていた“可能性がある”
この構図だけで、モヤモヤっとする人は多いはずです。
ただ、私はこの件が、
- 漫画編集の体制を見直すきっかけ
- 掲載順=人気という単純な図式に疑問を持つきっかけ
- そして何より、『シテの花』や『朱月事変』を知る入口
になってくれたらいいなと思っています。
もしこの記事を読んで、
「事情はいろいろ大変そうだけど、とりあえず作品読んでみるか」
と少しでも思ってもらえたなら、それだけで今回のポストには大きな意味があったはずです。
能楽師たちの生き様を真正面から描く、少年誌にはちょっと珍しい“能”漫画『シテの花』。
そして、家と兄妹の物語『朱月事変』。
Xでの騒動をきっかけに、ぜひ作品そのものにも、ゆっくり触れてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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